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神道系同人サークル「しんめい舎」の雑記帳です。

【旧ブログ】図書館と同人誌

※2017年9月17日、旧ブログ「眞澄録」に投稿したものです。

 

前回の「緒言」で、「現代神道を考える」ための記事を書いていく、としたが、のっけから予定を変更することとした。

なぜならば、2017年11月7日から9日の間に開かれる「図書館総合展」において、「図書館をテーマにしたり、図書館関係者が作った同人誌などを委託」する同人誌即売会、「としょけっと」が急遽開催されることになったためである。
公式サイト:http://tosyoket.com/

 

ジャンルは「創作、評論、情報系同人誌(全年齢対象)」。そして、具体的には

A.図書館にかかわるオリジナル同人誌、グッズ(図書館が舞台、図書館をテーマにしているなど。同人誌は図書館という単語が1回でも記載されていれば可)

B.図書館関係者が作った同人誌(現役、経験者、学生、研究者、関わる企業に勤務など)


このような形で図書館と関係していれば委託できるようだ。
図書館という場での同人誌即売会は、おそらく初めての試みではないだろうか。

一方では図書館に関心を持ち、一方では同人文化に関わる人間として、これは見逃がせない流れだ。

まず、同人誌の蓄積は、ある時代を反映する歴史資料群として、いずれそれだけでも意味を持ってくるものである。それも商業出版という一つのハードルをくぐらない、より幅広い視点からの資料群ということになる。
そして、学術情報の流通という観点からも、同人誌という媒体の持つ可能性はもっと高められていってもよいのではないだろうか、と思う。同人活動を舞台に学術研究をされている方というのも評論島では特に見かけるが、あまり顧みられているとは思えない。

同人誌は通常の書籍流通に乗らず、またその多くが少部数であるがゆえに、非常に散逸しやすい代物であると言えるだろう。これまでも米沢嘉博記念図書館コミックマーケットの見本誌を蓄積しているし(としょけっとの見本誌はどこかの図書館に入ったりするのだろうか)、国会図書館に納本されている同人誌も数あるが、今回のとしょけっとのように図書館と同人文化がさらに密接に結びつき、その繋がりが意識化されることで、図書館における、あるいは情報流通における同人文化の立ち位置というものが見直されていく第一歩となるのではないか。

そのような期待も込めて、ぜひこの記念すべき第一回目のとしょけっとに参加したいと思う(そういえば、昨年の図書館総合展では学生協働サミットが第一回目であった)。

内容はどうだろうか。図書館に関わる学生であるので何を出しても条件は満たすのだが、それでは面白くない。
先ほど述べた二つの側面からすれば、現代神道を表す現代の神道系同人誌を学術的に分析する、ということができると意義があるのだが、まだその任には早い。これから時間をかけて、それこそこのブログ上で準備していくべきものである。
そのため、としょけっとの噂を聞いたときに最初に思い浮かんだアイデアを実行に移したい。神道と図書館、というお題で同人誌を書くことである。

具体的には、近代を中心に神道、あるいは神社と図書館との関係の諸相を軽くまとめてみたい。
前々から書いてみたいと思っていたテーマとして、日本十進分類法に至る図書分類における「神道」そして「神祇」の問題がある。これをメインとして、並木軍平の皇道図書館大学図書館神道文献、神道に関わる専門図書館について述べ、最後に神道関係の書誌の書誌でも付ければ、ある程度「神道と図書館」について語ったことにはなるのではないだろうか。近代の展覧会と神道、に関する話題もどこかに入るだろう。

もちろん、図書館の自由に関する問題と神道関連の政治的トピック、であるとか、神道者の図書館観、など、他にも話題は思いつく。そもそもの神道系図書や雑誌の出版史であっても、これまで顧みられてきたとは言い難い。
だが、それはその後の課題とすることとして、まずはできる範囲で冊子を作っていきたいと思う。同人誌は出してこそ意味があるし、出さねば意味がないのだから。

なお、「現代神道を考える」についてもできる限り並行して進めていきたいとは思っている。